キー入力
キーボードイベント
通常、文字を入力する場合はすでに用意されているテキスト入力用のコントロールを使います
キー入力用のコントロールについては後ほど説明するとします
しかし、これ以外にも簡易処理などのために直接キー入力を受けつけたり
タイピングゲームなどのように、ウィンドウに直接入力してもらう必要がある場合があります
これを行うには、キーボードイベントを処理しなければなりません
キーボードのキーを押すと Control.OnKeyDown() メソッドと
登録されている Control.KeyDown イベントが呼び出されます
同様に、キーを離せば Control.OnKeyUp() メソッドと
登録されている Control.KeyUp イベントが呼び出されます
protected virtual void OnKeyDown(KeyEventArgs e);
protected virtual void OnKeyUp(KeyEventArgs e);
public event KeyEventHandler KeyDown;
public event KeyEventHandler KeyUp;
e には、入力されたキーの情報をパックした KeyEventArgs オブジェクトが指定されます
これは System.Windows.Forms.KeyEventArgs クラスです
Object
EventArgs
KeyEventArgs
public class KeyEventArgs : EventArgs
このクラスのコンストラクタは次のようになっています
public KeyEventArgs(Keys keyData);
keyData には、入力されたキーを示す Keys 列挙型の値を指定します
この System.Windows.Forms.Keys 列挙型は、キーを示すために使われます
public enum Keys
この列挙型のメンバは、キーの数に合わせて数多く存在するため
この場では省略しますが、基本的には直感的に理解できる名前になっています
くわしくは、Microsoft のヘルプを参照してください
イベントが発生した時に押された、または離されたキーを知るには
KeyEventArgs.KeyCode または
KeyEventArgs.KeyData プロパティを使います
KeyCode はキーコードを、KeyData はキーのデータを返すと定義されています
public Keys KeyCode {get;}
public Keys KeyData {get;}
これらのプロパティは、イベント発生時のキーを表す Keys の値を返します
この時の、ネイティブなキーコードを取得したい場合は
KeyEventArgs.KeyValue プロパティで得ることができます
public int KeyValue {get;}
通常、使う必要はないと思われますが
ネイティブな API とやりとりをする時や、特別にコードが必要な場合に使えるでしょう
Control クラスのイベントメンバを使ってキーイベントを処理する場合
KeyEventArgs.KeyValue.KeyEventHandler デリゲートを使います
public delegate void KeyEventHandler(
object sender , KeyEventArgs e
);
sender には、イベント発生元のオブジェクトが
e には発生時のキー情報を示す KeyEventArgs オブジェクトが指定されます
using System.Windows.Forms;
using System.Drawing;
class WinMain : Form {
string key;
public static void Main(string[] args) {
Application.Run(new WinMain());
}
override protected void OnPaint(PaintEventArgs e) {
Graphics g = e.Graphics;
g.DrawString(key , Font , Brushes.Black , 0 , 0);
}
override protected void OnKeyDown(KeyEventArgs e) {
key = "OnKeyDown = " + e.KeyData;
Invalidate();
}
override protected void OnKeyUp(KeyEventArgs e) {
key = "OnKeyUp = " + e.KeyCode;
Invalidate();
}
}
このプログラムは、キーボードイベントが発生すると
KeyEventArgs から Keys の値を取得して、その文字列表現を表示します
システムに密接に関連したキーは入力に対して重要な存在です
すなわち、Alt キー、Shift キー、Control キーの3っつです
これらのキーに関しては、イベント発生時に押されているかどうかを調べる
専用のプロパティが定義されているので、これを使うと便利でしょう
Alt キーは KeyEventArgs.Alt プロパティ
Shift キーは KeyEventArgs.Shift プロパティ
Control キーは KeyEventArgs.Control プロパティを使います
public virtual bool Alt {get;}
public virtual bool Shift {get;}
public bool Control {get;}
これらのプロパティは、キーが押されていれば true を
キーが離されていれば false を返します
押されるキーそのものには興味が無く、単純に入力された文字を受け取りたい場合
上のようなやり方では、Keys 列挙型と変換する文字のテーブルが必要です
しかし、そのようなことをしなくても Control.OnKeyPress() メソッド
または Control.KeyPress イベントを用いれば簡単に実現できます
protected virtual void OnKeyPress(KeyPressEventArgs e);
public event KeyPressEventHandler KeyPress;
e には、KeyPressEventArgs 型オブジェクトを指定します
これは System.Windows.Forms.KeyPressEventArgs クラスです
Object
EventArgs
KeyPressEventArgs
public class KeyPressEventArgs : EventArgs
このクラスのコンストラクタは次のように定義されています
public KeyPressEventArgs(char keyChar);
keyChar には、入力されたキーの文字を指定します
イベントが発生し、これを処理するメソッドは
KeyPressEventArgs.KeyChar プロパティを使ってこれを得られます
public char KeyChar {get;}
このプロパティを使えば、入力されたキーの文字を直接受け取ることができます
コントロールが直接キーの文字を得る必要がある場合に使うことができるでしょう
Control のイベントメンバを使ってこれを処理する場合
System.Windows.Forms.KeyPressEventHandler デリゲートを使います
public delegate void KeyPressEventHandler(
object sender , KeyPressEventArgs e
);
sender にはイベント発生もとのオブジェクトを
e には入力されたキーの情報を保有する KeyPressEventArgs オブジェクトを指定します
using System.Windows.Forms;
using System.Drawing;
class WinMain : Form {
string key;
public static void Main(string[] args) {
Application.Run(new WinMain());
}
override protected void OnPaint(PaintEventArgs e) {
Graphics g = e.Graphics;
g.DrawString(key , Font , Brushes.Black , 0 , 0);
}
override protected void OnKeyPress(KeyPressEventArgs e) {
key = "OnKeyPress = " + e.KeyChar;
Invalidate();
}
}
このプログラムは、先ほどのプログラムを OnKeyPress() メソッドに変え
入力イベントに対して、入力されたキーの文字をウィンドウに描画するように変更しました