LISP 言語とは、1960 年代初期にジョン・マッカーシー氏によって発表された最初の関数型プログラミング言語です。 Fortran と COBOL に続く、現代でも使われている最古のプログラミング言語の 1 つと考えられるでしょう。 当初は人工知能の開発を中心に LISP のコミュニティが形成されていましたが、人工知能ブームが去り、パーソナルコンピュータの時代が到来すると共にその影を落としていきました。
現代でも、LISP を研究するための教育用 LISP システムと、GNU の LISP コンパイラなどが存在していますが、最も有名なのは Emacs に搭載されている Lisp でしょう。 これは、Emacs Lisp と呼ばれ、テキストエディタの機能拡張を行うためのスクリプトとして利用されています。 もうひとつ、実用されている有名な LISP としては Scheme が挙げられます。 Scheme 言語は LISP 方言の関数型プログラミング言語で、LISP 系言語の中でも最も簡素な仕様を持つことから人気です。 どちらにしても、現代では Windows 系の開発者よりも、UNIX 系の開発者に馴染みのある言語と言えるでしょう。
開発の第一線ではあまり利用されていない LISP を開発者が学習する最大のメリットは、関数型言語を体験することです。 近年は C 言語を中心とした手続き型と、手続き型をベースにした Java などのオブジェクト指向型言語が中心となっています。 そんな中、LISP の関数型プログラミングは新しい刺激となるに違いありません。
Emacs Lisp や Scheme 言語など、LISP には数多くの方言が存在し、誕生当時から比べると多くの類似システムが開発され、それぞれが LISP 継承しながら独自の言語仕様を策定していました。 80 年代後半から、LISP の統一した言語仕様を策定する作業が開始され、1994 年に ANSI が Common Lisp を定義しています。 そのため、最も標準的な LISP といえば、現代では ANSI Common Lisp だと考えられます。 ただし、近年もオブジェクト指向機能を追加した国際標準の ISLISP 等も策定されており、今後の主流は ISLISP となる可能性が高いでしょう。